こんにちは、海津市のハッピーホーム後藤工務店の代表 後藤です。
工務店の4代目として生まれ、若いころに大工仕事も経験して今があると感じています。
今日は、私が大工仕事を始めて感じたことをお話しします。
① 20代、自分でやってみないといつまで経ってもできない
工業大学の建築学科を卒業後に社会経験も必要という事で、大きなゼネコン(建築会社)に入社し現場監督のイロハを学び、25歳で家業である工務店に入り最初に教えられた仕事の一つが大工仕事でした。
当時は5人の社員大工さんと3人の社員作業員さん合計8人の一人前の職人さんを抱える、今思えば大所帯で、例えばある月は3人は作業場で刻み仕事をしていて、2人は現場で造作仕上げ仕事をしていて、違う現場では作業員さんが基礎工事をしているといった感じで、人が多いという活気がありましたね。
「大工仕事・現場仕事を覚えないと、大工さんに物が言えない。」=「先々会社を引っ張っていけない。だからまずは大工仕事から。」という社長の教えに従い、作業場で大工仕事を教えてもらいながら、現場の大工さんから声が掛かれば言われた材料を運んだりしながら、材料の名前・木材の違い・特徴、職人さん・業者さんの仕事の内容も徐々に覚えていきました。
26歳には一級建築士試験の勉強をして受験したり、昼間大工見習いに専念する時期もあったり、設計の手伝いや現場管理もする時期があったり、あれこれしながら大工仕事も少し覚えると、当時社長であった父から「棟梁としてそろそろやらなあかんやろ。大工仕事は墨付けからいっぺんやってみ。」
それが28歳のころでしたか…
はっきり言って無茶ぶり以外の何物でもないです、今思い出しても。
大工経験3年といってもみっちり3年でもなく、あれこれしながらですから、実質1、2年くらいですからね。
すごいプレッシャーで先輩大工さんにどうしたものかと相談したり、始めのうちは社長に抵抗もした気がしますが、逃げていても逃げられないのも分かってきて、観念して受けました(笑)
設計も一からさせていただき、コーディネートもさせていただき、本当に無我夢中で取り組んで、大工仕事ではうまくいかず時間がかかりすぎる部分も夜なべでカバーしながら、でも難しい所は先輩大工さんに手伝ってもらって(汗)、とうとう完成。
その経験をさしていただいたお陰でいろんなことが分かりました。
経験も浅い若造と知りながらも、一から任せてくださったお施主様にも本当に感謝しています。
② 30代序盤、大工仕事はごまかしが効かない
そして立派な田舎の母屋の仕事も大工さんに紛れて、何棟か手伝わせてもらっていた30歳になった頃でしたか、またもや社長であった父から、「本格和風の母屋の墨付けや床の間の仕事ができてこそ一人前やからな。いくつか見てきたからそろそろ出来るやろ。次の本屋普請のお宅、棟梁として全部やってみ。」と忘れたころに来た無茶ぶり!
実は、初めて棟梁を任されたお宅はお若い施主様のお家で、洋風住宅でして、床の間・お座敷もあったのですが、「それはとても無理!自分が施工しては施主様にも申し訳ない。」という事で先輩大工さんにお任せしていたので、和室の仕事自体ほぼしていなかったんですね…
それでも「逃げていても仕方がない」と観念。そこでも社長や先輩大工さんに相談しながら、でも難しい所も何とか自分でやりきって、無事完成。
2棟経験して、「やれやれ、家づくりは大体分かってきたぞ。」と、その後は設計や現場管理の仕事をしつつ、「この大所帯を保つためには営業もしないといけなし。」といろいろしていました。
なにせ近い将来、自分以外は職人さんしかいない会社というイメージだったので、自分が大工仕事を覚えるより、仕事を途切れさせないスキームを作ることの方が100倍重要と感じていましたから。
しかし社長は事あるごとに「事務所に居すぎとちがうか?現場で大工仕事をして覚えないかんやろ。若い大工にはお前が教えないといかんのやぞ。」
確かに大工仕事でまだ出来ない領域がたくさんあるのも分かっていたので、頭を使う仕事は夜にして、昼間は本格和風の大工仕事もしていたのですが、どうしてもカンナだけは上手く研ぐことが出来ないし、研げないから木が全然きれいに仕上がらない。
カンナだけはごまかしが効かないのです。
③ 30代中盤、腕の良い大工さんはすごい
カンナって何をする道具かわからない人も多いですよね。シャーっと平べったい木くずが出てくるイメージはあるかと思うのですが、あれって木の表面をツルツルにしているんです。
あんな風にシャーっと均一でペラペラな木くずが出るのが大工さんで、普通の人はあんな風にはまず出来ません(笑)
腕が良い人ほど木くずは薄くできて、木くずの薄さ・長さを競う競技もあるのですが、それは我々には重要ではなく、柱などの造作材がいかにキレイに早く仕上げられるかが大工の腕の差で重要な所なんです。ノミは研ぐのも楽でごまかしも効きますが、カンナは難しい…
カンナは刃がしっかり研げていて、カンナ台(木の部分)とのセッティングがばっちり決まっていて、削る人の腕が良くて初めて、木がきれいに仕上がるんですよね。
カンナ台は気候・温湿度にも左右されるので、昨日は良かったのに今日はダメとか。
一日に何度も研いで、試してを繰り返しても、腕が悪ければちゃんと研げないし、まぐれでそこそこ研げていても、カンナ台が悪かったり、台とのセッティングが下手なので全然仕上がらない(笑)
腕の良い大工さんが仕上げた木は、本当にツルツル、もちもちで艶があるんです。
共に働いている大工さんの手前、仕事が進まないと余計に焦る。へこむ。キレてくる。
腕の良い大工さんのカンナ刃は、私の丸く濁ったしのぎ面と白い刃先とは違って、しのぎ面は一点の曇りもなく真っすぐでチカチカに光って、刃先はチョンチョン。
いろんなタイプ・年代の大工さんの道具を見てきたこともあって、大工道具にはその人の腕とともに性格も出ると感じています。
古き良き大工仕事を教えていただいた先輩大工さんのことは今でも尊敬しています。
ハッピーホーム後藤工務店ではお客様の「好き」をお聞きして、それをカタチにしています。
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ハッピーホーム 株式会社後藤工務店
代表 後藤健太郎
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